書評ブログ
乙武 洋匡 著「車輪の上」
誰だって差別・偏見を受ける側面を持っていて、誰だって差別・偏見の加害者にもなりうる
本との出逢い
クラウドファンディングサービス"SILKHAT"で実施されていた『乙武洋匡の義足プロジェクトを応援したい!』で、
『最新書籍「車輪の上」にサインを入れて贈ります。』のリターンを購入して入手。
あらすじ
幼少期から脳性麻痺を患って車椅子で過ごしている河合進平が、何気ないきっかけでホストの世界に飛び込み、
阿部シゲノブとしてホストを務めていく中で起こる人間ドラマが描かれています。
シゲノブは、無意識のうちに「自分は障害者」だということで言い訳をしてしまうが、
経営者のリョーマから「車椅子を言い訳にするな」と注意される。
指名客、同伴出勤、テレビ取材などを通じて、シゲノブは一番他人を差別偏見していたのは自分だと気づき、
シゲノブの中で車椅子というレッテルはなくなっていた。
レビュー
自分も他人に対して無意識にレッテルを貼ってしまっているんじゃないかと思えて、
過去に何があったか関係なく、1人の仲間として接することを心掛けようと思った。
テレビ取材でシゲノブがホストしているのを知ったが、次の選挙のために頑なに認めようとしない父に対して、母が言った言葉にうるっときた。
「この子のために会社を辞めて議員になった決断は間違ってなかったと思います。でも政治家の妻として生きるのはもうしんどい。
(中略)あなたが政治家として目指していたのは障害者でも自由に活躍できる社会じゃなかったの?
あなたの息子がまさに常識を破ってそれを体現してるのに、どうしてあなたの選挙のためにそれを諦めなくちゃいけないの?
(中略)政治家の妻とか政治家の息子とか、そういうレッテルに縛られる生き方はもうやめにしましょ」
この本のテーマは「レッテルに縛られずに生きる」ことなんじゃないかと思う。